逢魔時堂

逢魔時(おうまがとき)は昼と夜が移り変わる時刻。人の目が宵闇の暗さに順応する前の状態にある時間帯のことを言うのだそうだ。闇に慣れると人の目は宵闇の暗さに慣れ、暗闇の中でも物の形が区別できるようになる。それは、人の心の闇もまた。

8.おおつごもりの客.6

 その後は気を取り直して私たちは一群となって『塀のむこう』へなだれ込み、刑部夫妻心尽くしのパーティーを心ゆくまで楽しんだ。
 
 年明けのカウントダウン、そして新年はシャンパンの抜栓で祝い、
特別に用意してあったお子様用のシャンパンもどきのジュースでぐでんぐでんに酔っ払ったふたばは最所がおんぶし、
これも約束していた表初恋さくら通りに出向いてみると、通りは祭り一色になっていて赤い提灯がずらーっと稲荷神社まで続いていた。
 
 そして通りを歩いているのは懐かしのヒーローものたちで、
鉄腕アトムやら鉄人28号やら仮面ライダー月光仮面。そして名前も忘れられた昔のヒーローたち。
 
 もちろんその被り物やら衣装やらは本人たちの自前と思われ、それが尚の事レトロ感や薄寒さや侘びしさがいや増し、これはこれでこの通りに相応しい独特の雰囲気を作っている。
その光景に目を見張っているとゲゲゲの鬼太郎らしきものが目玉おやじを従えてぴょん、と私たちの前に現れた。
 
「どうです? いいでしょ!」
 
 得意満面で語るのは会長の声である。
 
「驚いただろ!」
 
 キーキー声で唱和するのは確か副会長のはずだ。
顔全体が目玉になっているその姿からはよくわからないが。
 
 驚いたことに異論はないので、私たちは大いに同意した。
 
「さあさあ、こっちへこっちへ」
 
 どうも雪女に扮しているらしい小太りのおばさんに案内され、
またまた甘酒の接待を受ける。
 
「いやいやいやぁ、あんたら知っとるか知らんか知らんけど、百鬼夜行のつもりなんじゃ」
 
「いわゆる現代に蘇りし百鬼夜行なんじゃ。ちょっとネットで若いもんに声かけたら、まあまあまあ、コスプレっちゅうんか? 
ああいうの好きなんが集まる集まる。
通りが溢れて大変なことになっとる」
 
「そうそう、会長の読み通りじゃったのぉ。
いやいや鬼太郎、大したもんじゃ!」
 
 目玉おやじがキーキーと笑いながら鬼太郎をバシバシと叩いた。
 
 奥の間から先日のばあさまが出てきて、どっこらしょ、と私たちの前に座った。
 
「さすが婆さん、古式ゆかしいのぉ。山姥で登場とはのぉ」
 
「わしは何もしとらん。いつもこのまんまじゃ」
 
「いやいやいやぁ、わしはまた今日の最優秀賞じゃと思うたわ」
 
 なんとも賑やかしく、人々は楽しげにその時を過ごしていた。
 
つづく
 
 

君の名は。

すごい人気だそうですね。

原作も見てみたいものです。

 

 

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