9.唐土の鳥.9
こうして見ると、本来閑古鳥が鳴く店へ品物を売りに行く。
あくまで保管が目的で。
後日必要なときに買い戻しに来る。
そのような貸倉庫のような役目を果たすはずだった逢摩堂は正月三が日はとてもではないがその状態ではなく、
仕方なし適当に置いてきた……というのがあらすじらしいのだ。
これもそのメモの重要性を全く知らない輩だからこそしでかしたことで、まだ猫たちのおもちゃになって店内に留まっていたから良かったものの
ゴミ扱いされて捨てられたり、あるいは売れてしまったりしたら――
とは思わなかったものか。
どうもその辺りにはもっともっと謎がありそうなのだが堅気の私たちにはその説明で一応納得してみせた。
***
うどんを食べ終わったところで、るりこ姉さんは更科を連れて署に戻るということになった。
もう一度ゆっくりと話を聞くことになるのだそうだ。
ただ、そのメモが記した場所はあらかじめ予想されていた通りの所だったということで、
今頃現場は大捕物になっているはずだと、つけまつ毛のない目で軽くウィンクし、
更科を急き立てて立ち上がったのだが突然
「ねえ、明日の朝って七草粥つくるの?」
と聞いてきた。
「もちろん作りますよぉ」
ふたばがそう答えると、
「ねえ、あたし明日非番なの。食べに来てもいい?」
「もちろん!」
私たちは言葉を揃えた。
「で、落ち着いたら、いつか私の思い出話を買ってくれる? みいこさん?」
「もちろん、喜んで」
もうすっかり夜は白々と明けかけており、
厨房からはふたばとひなこの笑い声と七草囃子が聞こえる。
「ななくさなずな、唐土の鳥が日本の土地へ渡らぬさきにストトントンとたたきなせえ」
つづく
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