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逢魔時堂

逢魔時(おうまがとき)は昼と夜が移り変わる時刻。人の目が宵闇の暗さに順応する前の状態にある時間帯のことを言うのだそうだ。闇に慣れると人の目は宵闇の暗さに慣れ、暗闇の中でも物の形が区別できるようになる。それは、人の心の闇もまた。

12.白黒.4

「ったく……嫌な時代だわ」
 
「ほんとにねぇ」
 
「あ、そういえば表通りのね……」
 
 二人の会話が値上げの激しい野菜の話に移ったのを機に、私はさり気なくその場から離れた。
 
 子猫に刺さっていた吹き矢は私のバッグに入れてある。
そして今聞いたヤブのウマイ先生の方にいるという水鳥に刺さっていたやはり「矢」のようなもの。
そしてチワワおばさんの姪のところにいるという黒猫。収穫は多い。
 
 もう一度子猫のベッドに近付くと目を開けて私をじっと見つめ、弱々しいながらも小さく鳴いた。
 
「早く退院できるといいね。待ってるからね。元気になろうね」
 
 そうゲージ越しに声を掛け、そっとその場を離れた。
とりあえずはヤブの馬井医院へ……だ。そこに行けばいくつかの謎は解けるはずだ。
黒猫はハセガワに違いないだろう。
しかし事情が事情だ。この問題は慎重に扱わなくてはならない。
 
 そしてもう一つのこの禍々しく、忌々しい矢の問題。この犯人は絶対に許すことはできない。私はバッグの中の矢を思い出し、またふつふつと怒りが沸き起こった。他のみんなも各々情報を集めているはずだ。
 
 猫嫌いのはずだった最所と京念がこの事件に関して陣頭指揮を取っている。
いつの間にかこの二人は猫嫌い、猫苦手を完全に返上し、まるで産まれたときから猫と共存してきたかのような状態になっており、彼らの膝にはいつも猫が座っている。
 
 猫たちに話しかける声音は完全にとろけきっていて、ボスいわく
 
「ありゃ完全に恋に落ちとるな」
 
 ということで、事務所内は二人の持ち込む猫グッズで溢れかえっており、
私とひなこ、ふたばは秘かに二人のデスクを第二倉庫へ移動しようかと相談し合ったくらいである。
 
 それはさておき、夕方私たちは各々が持ち寄った情報の分析を開始した。
 
 有力なものはいくつかあった。
まず小雪と命名された白猫に刺さっていたもの。
これは吹き矢に間違いなく、しかもいささか凝ったもので競技などに使うものではなく、手作り、もしくはコレクションとして手に入れたものではないかとボスが推察した。
 
 と、すれば逢摩堂でこの手の展示会を企画し、ネットで少々煽れば食いついてくるのではないだろうか。
物が物であるため、そうそうこのような企画が地方で行われることはないだろう。
 
 ダーツや吹き矢、チェス盤などの室内遊技等も取り混ぜて「中世の遊び展」などと称して網を張ってみる。
これはボス、最所、ふたばが中心に行動することになった。
 
 
つづく
 
 
 

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