8.おおつごもりの客.6
その後は気を取り直して私たちは一群となって『塀のむこう』へなだれ込み、刑部夫妻心尽くしのパーティーを心ゆくまで楽しんだ。
年明けのカウントダウン、そして新年はシャンパンの抜栓で祝い、
特別に用意してあったお子様用のシャンパンもどきのジュースでぐでんぐでんに酔っ払ったふたばは最所がおんぶし、
これも約束していた表初恋さくら通りに出向いてみると、通りは祭り一色になっていて赤い提灯がずらーっと稲荷神社まで続いていた。
そして通りを歩いているのは懐かしのヒーローものたちで、
もちろんその被り物やら衣装やらは本人たちの自前と思われ、それが尚の事レトロ感や薄寒さや侘びしさがいや増し、これはこれでこの通りに相応しい独特の雰囲気を作っている。
「どうです? いいでしょ!」
得意満面で語るのは会長の声である。
「驚いただろ!」
キーキー声で唱和するのは確か副会長のはずだ。
顔全体が目玉になっているその姿からはよくわからないが。
驚いたことに異論はないので、私たちは大いに同意した。
「さあさあ、こっちへこっちへ」
どうも雪女に扮しているらしい小太りのおばさんに案内され、
またまた甘酒の接待を受ける。
「いやいやいやぁ、あんたら知っとるか知らんか知らんけど、百鬼夜行のつもりなんじゃ」
「いわゆる現代に蘇りし百鬼夜行なんじゃ。ちょっとネットで若いもんに声かけたら、まあまあまあ、コスプレっちゅうんか?
ああいうの好きなんが集まる集まる。
通りが溢れて大変なことになっとる」
「そうそう、会長の読み通りじゃったのぉ。
いやいや鬼太郎、大したもんじゃ!」
奥の間から先日のばあさまが出てきて、どっこらしょ、と私たちの前に座った。
「さすが婆さん、古式ゆかしいのぉ。山姥で登場とはのぉ」
「わしは何もしとらん。いつもこのまんまじゃ」
「いやいやいやぁ、わしはまた今日の最優秀賞じゃと思うたわ」
なんとも賑やかしく、人々は楽しげにその時を過ごしていた。
つづく
すごい人気だそうですね。
原作も見てみたいものです。
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